第1章 転校生は・・・オンナ
今日も私は、祓って祓って祓いまくって、反動による頭痛を堪えながらまた祓う。それでも呪いは決してなくならない。なぜなら人間が生きている限り、ソレを0にすることは不可能だからだ。
己の身を削ってまで呪いを祓うなんて、正直ごめんだ。なぜ犠牲を払ってまで私がこんなことを、とも思う。それでも母が遺した言葉たちが私を突き動かすのだ。
“「呪いが見える誰かが、やらなくちゃ。あなたにはそのチカラがあるわ。」”
“「人の命を救うことほど立派なものなんてこの世には何もないわ。」”
分かっていた、母の言っていることは正論だと。
ただあの頃はちょっとだけ素直じゃなかったから、周りの呪いの見えない人たちから酷いことを言われてきたから、あまり聞く耳を持てなかった。それだけで。
『ごめんね、お母さん。』
青く澄んだ雲一つない空を見上げて立ち止まり呟いた。
ここは本当に東京なのかと疑うほどに、新緑の樹々が生い茂る道を進む。
“「母さんに何かあったら、都立呪術高等専門学校に行きなさい。」”
“『何かって、何よ?』”
病室で横たわる母さんと言葉を交わしたのはこれが最期だった。
『ったく、メンドクサイ呪いをかけられたもんだよ。』
そう吐き捨てるように呟いたあと、私は再び歩き都立呪術高等専門学校のムダに広い庭を進んだ。