第53章 11人目のストライカー23
貴方side
佐藤「で、今朝落ち着いたところで話を聞いてきたんですが…」
高木「どうやら、スピリッツへの恨みという線は無さそうですね…」
佐藤刑事によると、彼は笑い飛ばすように言ったって。“とんだ見当違いだ、スピリッツに感謝こそしてる…恨んじゃいねぇよ”…なんて。
なにやらマスコミも知らない事実では、スピリッツが内定取り消しにしたのではなく中岡さんから申し出たらしく、
バイクで事故った後も、スピリッツは手術代もリハビリの費用も出してくれて…さらには左足は完全に戻らなかったけれど契約してもいいって言ってくれたらしい。
貴「じゃあ、なんで中岡さんはJリーガーにならなかったんですか?」
佐藤「もちろんその話についても聞いたわ」
彼は自分のプライドがそれを許さなかった、と佐藤刑事や高木刑事に話したらしい。
90分間ピッチに立ち続けれない人間にサッカーをやる資格はない…って。
高木「スピリッツには確認済みです」
佐藤「それと、バイト先の店長からこれを預かってきました」
佐藤刑事が机に置いたのは1枚の写真で、そこに写ってるのは中岡さんだった。
佐藤「彼が南米から送ってきた写真のようです」
目暮「うーん、山村警部からの話だと大分イメージが違うな…」
サッカーボールを持った男の子達と一緒に、楽しそうな笑みを浮かべている中岡さん。
裏には“店長。やっぱりオレ、サッカーやめられねぇや”…という文字が書かれている。
貴「…スタジアムを爆破するような人には思えないね」
小五郎「人は見かけに寄らず、…案外子供好き、サッカー好きの良い奴なのかもしれませんな」
見た目で判断するのは良くない。子供達と一緒にこんな優しそうな笑顔を浮かべるような人だとは思ってなかったからな。
★★
数日後、ある手紙が小五郎さんの家に来て私も蘭に呼ばれた。
「毛利探偵へ…あれで終わったと思うな。次は前回よりもっと多い人がその場で爆発を目の当たりにし、恐怖の時間を共有する羽目になる」
ソファに座って手紙を読み上げる白鳥警部。
白鳥「詳しい指示は後日…では健闘を祈る」
蘭「今朝、事務所の郵便受けにメール便が届いていて…それを取り出したらそのカードが…」
目暮警部「なるほど…」