第6章 バカンス(D.T)
太陽の下、プライベートビーチでひとり泳ぐ私。
それをコンドミニアムのソファーの上で寝そべりながら見ている…と思うけど、サングラスの中の目は開いているのか閉じているのか、彼。
2ヶ月前、夜中に慌ただしく会いに来て嵐のように私を抱き、去り際に言った言葉は
「あそうだ。バカンス行かねえ?」
だった。
目の回るような忙しさで音楽シーンを駆け抜けている彼。
「少しくらい休みなさい」とお偉いさんから半ば強制的に1ヶ月の休暇を押し付けられ、この南の島のコンドミニアムまでつけて下さったそうだ。