第11章 俺のだから(D.T)
スタッフのあの子とそんな事になってから、周りにバレないよう逢瀬を重ねていた。
会うのはもっぱら彼女の家。オートロックの呼び鈴を鳴らして「来たよ」アピールをしてからもらった合鍵で自分で入る。
時間はいつもばらばら。夜中になっても来ていいと言うのでお言葉に甘えて2時や3時になる事もある。
起きてくれている時もあれば、眠っている横に忍び込み彼女を抱きしめて眠る日もある。
今日は午後10時。早く来られて嬉しい俺。しかし彼女は留守だった。
出かける用事がある時はメールで教えてくれるのに。留守の部屋に上がり込み俺のために冷やしてくれてあるビールを取り出して飲み始めた。
小1時間ほどすると彼女が帰ってきた。
「おかえりぃ。お邪魔してまーす」
「えっ!今日は早かったんですね!ごめんなさい、何か作りましょうか?」
「いい、いい。メシは済んでるから…なに、仕事?」
「はい!実は今日…」
少しもったいぶる彼女の手を引き寄せ俺の膝の間にすっぽりと納めた。
「ファンクラブのスタッフに抜擢されたんです!」
ん?
「ファンクラブ?誰の?」
「常田さんたちのに決まってるじゃないですか!」
「…へぇー……お、めでたいの?」
「そりゃ、そうですよ…いつもなんとなく近くにいられるし、それにツアーにも帯同できるんですからっ」
彼女は嬉しそうに声を弾ませる。