第10章 play 8 ※
浅い眠りの中
タケルは
幼い頃の夢を見ていた
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真っ暗な部屋
少しだけ開いたドアの隙間から
大好きな声が聞こえる
「……タケル…」
「………お母さん………ここ…何処なの…?」
「……お仕事をする部屋よ………アナタもお兄ちゃんみたいに…お芝居のお仕事がしたいって言ってたわよね…」
「…ウン……お兄ちゃんは?……一緒じゃないの…?」
「………カヲルは……もうお仕事が出来なくなってしまったの…………だから……これからは代わりにタケルが頑張るのよ…」
「……そうなんだ…………分かった……僕…お兄ちゃんの分も頑張るよ……」
「…………良い子ねタケル…………お母さんはそんなタケルが大好きよ……」
優しい手に頭を撫でられ
タケルは幸せな気持ちになった
「……それじゃあ……お母さんは外で待ってるから…………しっかりね……」
ドアが閉まり
暗闇に鍵の音が響く
「……………お母さん……?」
立ち尽くすタケルの腕を
大きな手が掴む
「…わぁっ……何…⁉︎」
驚いて振り払おうとしても
強い力に対抗が出来ない
「…何すんだよ!…離せ!」
恐怖を感じ
暴れるタケルの身体を
何本もの手が押さえ付け
服が剥ぎ取られていく
「…離せ!……っやめろよ!……助けて!お母さん!お母さん!」
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『……タケルさん………タケルさん…!』
肩を揺さぶられて飛び起きたタケルが周りを見渡すと
怯えたような顔をしたチサトと目が合った