第8章 play 6 ※
シャワー室に入り
洗面台の前に立ったチサトは
鏡に写った自分の顔を見つめた
『……』
いく筋もの涙の跡を見て
細かな記憶が色々と蘇ってきた
『………ぅ……』
急に吐き気が込み上げ
蛇口を勢いよくひねる
冷たい水を口に含み何度もうがいをすると
そのまま顔も洗った
ノックの音がして
カヲルがチサトの服を手に入ってくる
「……失礼します…」
ワンピースのハンガーを壁のフックに掛け、下着を棚の上に置いたカヲルは
戸棚からハンドタオルを取り出して渡した
「………どうぞ……」
そのままシャワー室を出て行こうとしたカヲルの腕を
チサトが掴んだ
『…………行かないで……』
俯いていた顔を上げると
カヲルの瞳が同じように見つめ返していた
『………カヲル…さん……』
「……」
ふたつの唇が近づいて
そっと触れ合う
カヲルが身体を離そうとした瞬間
チサトの腕が首に巻きついた