第2章 play 1 ※
バスローブを羽織ったタケルが部屋を出て行くと
少ししてカヲルが入ってきた
着替えをベッドの上に置き
何も言わずに部屋を出ていく
半ば朦朧とした意識の下
チサトはノロノロと身体を起こし、身なりを整えた
数十分後
チサトはカヲルに送られ
自分のマンションの前で車を降りた
足早にエントランスを横切り
エレベーターに乗り込む
震える手で鍵を開け
自分の部屋に入ってドアを閉めると
その場にへたり込んだ
涙が
後から後から溢れた
チサトは声を殺して泣いた
行為の最中
タケルはスマホを手に取ると、数枚の写真を撮った
ベッドの上のあられもない姿
口止めのための保険ということだろう
数々の弱味を握られた自分は
"三神タケル"という大きな力の前に跪く従順な奴隷となったのだ
チサトは唇を強く噛み締めた
(……強くなろう……強くならなくては…)
手の甲で涙を拭くと
瞳を閉じ、深呼吸した
そして
ゆっくりと瞳を開けたチサトは
この薄汚い世界で生きていく覚悟を決めた