第15章 storm
1201号室のドアを開けたチサトは
少し痩せたようだったけれど
マネージャーが話していたような深刻な様子はあまり感じられなかった
タケルをリビングのソファに案内し
冷たい飲み物を用意すると
チサトは向かい側に腰を下ろした
『……………さっきは……すみませんでした…………モニター越しの雰囲気が…よく似てたもので……』
「………いや…」
『…………脚の具合……どうですか…?』
「……軽い骨折だって……医者からは全治3ヶ月って言われた…」
『………そうですか…………タケルさん……本当にすみません………私を庇ったばっかりに…』
「…チサトが謝ることなんか…何もないよ…」
『……』
「……今回起こった事は…全部……チサトのせいじゃない………だから…自分を責めないで欲しい…………チサトは……少しも悪くないんだ…」
『……』
「………それだけは……どうしても言っておきたくて…」
『………タケルさん……』
タケルはグラスのお茶を飲み干すと
松葉杖を手に立ち上がった
「…タクシー待たせてるから…もう行くよ………お茶…ご馳走さま…」
『……ぁ……はい…』
玄関で靴を履いたタケルは
チサトの方へ向き直った
「…………今度……電話してもいいかな…」
『………はい………スマホの電源…入れておきます…』
「…………ありがとう…」
『……いえ………カヲルさんからも…そろそろ連絡が来ると思うので…』