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bird cage 【R18】

第15章 storm





誰も居なくなった墓地で
タケルは石に刻まれた名前を見つめていた



病院へと向かう救急車の中
血まみれで横たわる姿を見た時も


薄暗い遺体安置室で
冷たくなった身体に触れた時も


タケルは
ただ
悪い夢を見ているだけのような気がしていた





カヲルの死が

あまりにも突然過ぎて



葬儀を終え

こうして墓の前にいる今でさえ

まるで現実味を感じることができなかった






ふいに

生暖かい風が吹いて

供えられていた花の香りが辺りを包んだ


顔を上げると

さっきまで晴れていた空が灰色の雲で覆われていた



「……」



タケルは手にした松葉杖を両脇に抱えなおすと

青々とした芝生の上をゆっくりと横切り

その場を後にした











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