第12章 play 9 ※
行為を終え
タケルがベッドルームを出て行くと
放心したようにベッドに横たわっているチサトの側に
ざっくりと身支度を整えたカヲルが服を運んできた
身体を起こし
下着とワンピースを身につけたチサトは
バッグを持つと
ヨロヨロと玄関へ向かった
車の鍵を手にしたカヲルが
靴を履こうとした時
チサトは呟くように言った
『……送ってくださらなくて大丈夫です…』
「………でも……この時間じゃタクシーもつかまらな…」
『放っといて!』
「……」
『…………ひとりになりたいんです………もう私に関わらないでください……』
部屋を出て行こうとしたチサトの腕を
カヲルが掴んだ
『何するの!離して!』
「……………今日だけは…送らせてくれ…」
震える声に
チサトが俯いていた顔を上げると
悲痛の色を浮かべたカヲルの瞳があった
「………頼む……」
『……』