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bird cage 【R18】

第2章 play 1 ※



その時
チサトは初めて
男性の住むマンションの薄暗い廊下にバスローブ姿でいる自分のことを自覚した

背筋に悪寒が走る


『……私……やっぱり今日は帰ります』


震える指を握りしめ
必死に平静を装いながら言う


「……」

『…お願いします……帰らせてください…』

「……分かりました……では…お送りしま…」

『結構です!……マネージャーに…来てもらいますので…』


チサトはバッグからスマホを取り出すと
マネージャーに電話した


「…もしもし…?」

『…私です……あのっ…帰りたいので…今から迎えに来てください』

「…は?何言ってるのチサト?…ふざけてるなら切るわよ?」

『ふざけてなんかいません!帰りたいんです!すぐに来てください!』


必死に訴えるチサトに
マネージャーは大きくため息をついた


「…………ハァ………全く……上手くやりなさいって言ったでしょう⁉︎……そんな勝手な事して…彼が機嫌を損ねたらどうするの?……三神さんからしたら…アナタをこの役から降ろすのなんて簡単な事なのよ?」

『……ぇ…』

「……社長だってあんなに喜んでたのに……初日の撮影終えた所で突然ヒロイン役が変更になったら…どんなにガッカリするか考えてごらんなさい」

『…今さら…相手役の変更なんで出来るはずありません!……それに…監督は私の演技を褒めてくださってました……だから大丈…』

「それは!アナタのことを"三神タケルのお気に入り"だって監督が思ってるからでしょう?……まさか…本気で褒められてるとでも思ってたの?」

『……』

「彼の相手役になりたい子なんてごまんといるのよ?…その中に…アナタの何倍も演技の上手い子がどれだけいると思う⁇…あの程度の演技力で自惚れないで頂戴」

『………………そうですね……………じゃあ………私はこの役を降りて…もっと演技の上手な方に譲ります…』

「……この仕事を……断る…って事?」

『……はい』





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