第8章 秘匿死刑
伏黒くんの退院手続きを手伝って、私は火葬場へと向かう。
ちょうど辿り着いた時には、五条先生と虎杖くんがベンチで2人きりで座ってた。
2人のところに行こうと足を進めようとして、私はそこに立ち止まる。
「う、わ……」
「綾瀬?」
《なんで死んじゃったの》
《いやだ、まだ離れたくない》
病院からの火葬場。
いずれも負の感情が溜まりやすい場所で。
私の身体に呪いがまた集まった。
ズシン、とのしかかるように、身体が重くなって。
無数の押しピンから身体を刺されたような感覚に、思わず足が止まってしまった。
(……呪いの質自体はそんなに強力じゃない)
前みたいに包丁で刺されたような感覚はない。
大丈夫、大丈夫。
自分に言い聞かせて、私は一歩前に足を進める。
「大丈夫か? 綾瀬」
「うん。ごめんね、ちょっとくしゃみ出そうになって、立ち止まっちゃった」
我ながら下手くそな言い訳をして、五条先生たちのところに行こうとしたけど。
「待て、綾瀬」
伏黒くんに手を引かれて、私はベンチのそばの茂みに隠れた。