第8章 秘匿死刑
「伏黒くん?」
伏黒くんが私の顔の前に手をかざす。
伏黒くんを見上げてみたら、伏黒くんは五条先生たちの様子を見てた。
「あの指まだある?」
虎杖くんの声。
同時に五条先生が虎杖くんにあの凶々しい指を手渡した。
「今から、五条先生がアイツに喰わせる。もしもの時のために、綾瀬は隠れてろ」
虎杖くんの気を散らさないようにするためか、伏黒くんの声は小さい。
だから私を囲うようにして目の前に座って耳元でそう囁いた。
(よかった。……これで、ちょっと休める)
立ってるよりは楽。
少しだけ深呼吸をしてみたら、伏黒くんが心配そうに私を見てた。
「綾瀬、本当に大丈夫か?」
「うん。大丈夫だよ。……って言っても心配するよね」
たぶん私の顔色が悪いんだと思う。
そればかりはどうしようもできないから。
「このあたり、負の感情の溜まり場だから。一気に呪いが流れてきただけ。反動があるけど呪力自体はたいしたものじゃないから、すぐ収まるよ」
私は大丈夫、大丈夫とひらひら手を振ってみたけど。
伏黒くんがそんな私の手を掴んだ。
「……そんなに呪力が強くないうちなら、俺にも流せるんじゃないか?」
「え?」
伏黒くんが、何を言ってるのか分かんなかった。