第8章 秘匿死刑
本当は一番思い当たってることがあるけど。
でもそれで不機嫌っていうのは、思い上がりな気もして。
「あんまり言いたくない」
「いいから。……何、五条先生のキスを拒否したとか?」
「違う! 拒否してない!」
「……キスはしたんだな」
したけど。
でもそれは高校に潜入する前のことで。
……ていうか、そもそも関係ない!
「なんでそんな話になるの」
「言いたくないっていうから、そっち系の話なんだろうと」
「……違うよ」
伏黒くんには前に五条先生とキスしてるとこを見られてるから。
余計にその手の話を振られると恥ずかしい。
「言いたくないなら、これ以上は聞かないけど。でも早く仲直りしないと、綾瀬が大変だろ」
「……まぁ、たしかに。作ったご飯全部、たった一言『0点』って言われるかもしれない」
「いや、そうじゃなくて。オマエの呪力を調整してんの、五条先生じゃん」
伏黒くんにそう言われて、はじめてその考えが頭に浮かんだ。
五条先生を怒らせたら、五条先生がもう私の呪力の受け皿になってくれないかもって。
私はたぶんそれを1番に考えなきゃいけなかったのに。
「そう、だね」
五条先生を怒らせたって思った時。
私はただ「いつもみたいに冗談言ってくれなくなったらどうしよう」とか、「バカにして笑ってくれなくなるのかな」とか。
そんなことばかり考えてた。