第8章 秘匿死刑
病室の時計のほうを見上げて、五条先生は呟いた。
「恵はその点滴終わったら退院していいんだっけ?」
「はい。応急処置は済んだんで、後は高専に戻ってから家入さんのとこ行きます」
「そう。じゃあ、僕は先に虎杖悠仁に会いに行く」
そう言って五条先生は病室を出て行こうとする。
私も五条先生について行こうと当然のように足を動かしたんだけど。
「皆実は恵と一緒に後からおいで。杉沢火葬場にいるから」
「「え?」」
思わず声が出てた。
伏黒くんも、おそらく同じ考えだったんだろう。
声が重なった。
「ん、なに?」
五条先生は首を傾ける。
私は何も言えなくて、代わりに伏黒くんが五条先生に答えた。
「分かりました。退院の手続きとかしたら、合流します」
「うん、よろしく」
五条先生は短く挨拶して、病室を出て行った。
パタン、と戸の閉まる音がやけに寂しく響いた。