第8章 秘匿死刑
「ま、君の言う通りさ。皆実も器にはなれる。その素質はある。……けどね、皆実に制御はできないよ。皆実は耐えうる器じゃない」
私がその指を喰べたなら、おそらく私は両面宿儺に身体を乗っ取られるだろう。
自分でも、その末路が容易に想像ついた。
「だからこう提言した。『どうせ殺すなら、全ての宿儺を取り込ませてから殺せばいい』」
呪いの器。
私と虎杖くんはその点で同じだけど。
普通の呪いすら制御できていない私と
強力な呪いを制御できる虎杖くん。
全然同じじゃない。
価値があるのは明らかに虎杖くんのほう。
それなのに……。
「君には今2つの選択肢がある」
虎杖くんに与えられた選択肢はあまりにも酷なもの。
私は呪詛師の容疑が晴れれば死なないけれど。
虎杖くんは両面宿儺を全部取り込んだとしても死ぬことが決まっている。
(……五条先生が手を回しても、この折り合いなんだ)
それほど、両面宿儺という呪いは強力だってこと。
そんな呪いとのんきにお喋りしてたなんて。
そりゃ怒られるのも当然だなって納得した。