第8章 秘匿死刑
いきなりの爆音に、私はビクゥッと肩を揺らした。
反射的に爆発した方を見たけど。
「見ての通り、これは壊せない」
五条先生の攻撃を受けても、その指は原型を保っていた。
それだけ強力な呪い。
そんなヤバいのとさっきお喋りしてたんだ、私。
「うちの老人共は臆病でね。今すぐ君を殺せと騒ぎ立てる。……皆実のときと一緒で」
やっぱり私のときもそうだったんだ。
でも五条先生が執行猶予をつけて先延ばしにした。
本当この人、何者なんだろう。
「俺は……なんとなく理由わかるけど。皆実はなんで、殺されんの」
「皆実も君と同じ、呪いの器なんだよ。でも君と違って呪いを制御できなくてさ。呪いに利用された殺人鬼の容疑で死刑宣告」
まったくその通りなんだけど。
毎回言い方に悪意があるんだよなあ。
「でも宿儺に耐えうる器なんて今後生まれてくる保証はない」
「皆実はコイツの器にはなれねぇの?」
「えー、皆実に指喰べたさせたいの? 君、なかなか悪趣味だね」
「いやそうじゃねぇって! 単純な疑問! つーか……そんなにかわいいヤツにこんなん喰べさせれるわけねぇじゃん」
虎杖くんは慌てて否定して私の顔をチラリと見る。
けど、すぐに目を逸らされた。
(あちゃー……お世辞言わせちゃったなぁ、気遣わせて申し訳ないや)
「皆実はもっとちゃんと自分の顔を鏡で見たほうがいいよ」
五条先生にしてはオブラートに言葉を包んだんだと思うけど。
たぶん直訳は「もう少し身だしなみに気を遣いなよ」だ。
虎杖くんもわざわざこんな時にお世辞言わなくてもいいのに。
「すみません。以後気をつけます」
「てな感じで、皆実にその手の口説き文句は伝わんないから。中にいるヤツにも教えといてよ」
五条先生は笑いながら、虎杖くんに告げる。
虎杖くんは首を傾げてるけど、五条先生は話を戻した。