第8章 秘匿死刑
《しかし、オマエはその呪符を解くことができ、かつ、あくまで俺がいるこの場に一人で取り残されている》
あれ? なんかそれだけ聞くと、私めちゃくちゃ強いみたいに聞こえない?
いやいや、それは困る。
「先に否定しますけど、私クソ雑魚ですからね」
《それほどの呪力を漂わせてよく言う》
「マジです。きっとあなたに瞬殺され……」
ん? でも両面宿儺は呪いで。
呪いの力は私に効かないはずで。
「……あ、私は殺せないのか」
独り言のつもりだったんだけど。
結構でかい独り言だったみたいで。
私の余計な独り言に両面宿儺は興味を示してしまったらしい。
《ほう、俺には殺せないと》
「いやそうじゃなくて、体質の問題で……っ!」
「皆実」
私が訂正しようとしたら、その口ごと誰かの手に塞がれた。
ふわりと漂うこのやたら爽やかな香りは……。
「ぼぼーべんべー?(※五条先生?)」
「何言ってんの?」
(おめーのせいだよ)
口塞がれてるからうまく言葉にならなかっただけなのに。
すっごいバカにしたような声音だからイラッとした。
てゆーか、いつの間に帰ってきたんだこの人。
本当、気配消すの上手すぎ。