• テキストサイズ

【呪術廻戦】無下限恋愛

第8章 秘匿死刑


「綾瀬、皆実です……けど」


 律儀に答える必要はなかったのかもしれないけど。

 私が名前を教えると、両面宿儺はゲラゲラと笑った。


《良き名だ。しかし名は簡単に教えるべきではない。名は魂を顕す。それを使えば貴様のことなど簡単に呪えるぞ》

「もう呪われてますけど」


 教えろって言ったくせに、教えるべきじゃないってなんなんだ。

 私が口を睨むと、また口が笑った。


《オマエ、身体に呪いを飼ってるのか。道理でいい香りがするわけだ》

「全然褒められてる気しないんですけど」

《そうか? 女など喰うだけの生き物と思っていたが、オマエは少し俺を愉しませてくれそうな気がする》

「気がするだけですよ」


 即答すると、口がゲラゲラと笑った。

 よく笑う口だなぁ、五条先生みたい。


《まあよい。……それより、コレを解かないのか? 小僧がかわいそうなんだろう》

「あなたが虎杖くんの中にいるから、解いちゃダメって言われてるんです」

《クククッ、つまり貴様はこの呪符が解けるということか》


 ん? 私まずいこと言った?

 でも五条先生には「皆実が触ったら呪符がただの紙切れになるから触るなよ」って言われた。

 触るなって言うくらいなら置いてくなよって感じだけど。


《この呪符は厄介なものだ。厄介かつ強力》


 まあ、五条先生がやったんだから強力でしょうね。

 しかもめちゃくちゃ厄介そう。

 呪符にも施した人の性格が宿るのかな。


《俺が表に出たら封印を施すようにできている。まあ、解けんことはないが、解いたところであの男が来るならさらに厄介なことこの上ない》


 呪いに厄介って言われてるよ、五条先生。


《だからこうやって小僧の身体の一部を乗っ取ることしかできん。なんとも不便だ》


 そう言った口が不服そうに尖っている。

 口だけなのに表情まで分かるような気がした。
/ 612ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp