第8章 秘匿死刑
呪符が無数に貼られた部屋の中。
薄灯が1人の男子を照らしてる。
(眠ってる)
呪符がいくつも貼られた縄で腕を縛りつけられ、椅子に座ってる。
私はそんな彼の目の前にしゃがみ込み、その顔をマジマジと見つめた。
一応、監視役……らしいけど。
虎杖悠仁くん、をここに閉じ込めた張本人はというと。
ヘラヘラ笑って「僕はいろいろ無理通してくるから〜」といなくなった。
たぶん虎杖くんの処遇について、手を回してるんだと思う。
伏黒くん曰く、処刑対象らしいから。
(私のときもそうだったんだろうなー)
今の虎杖くんと同じように、少し前はそこに私が座ってた。
五条先生にはこんなふうに見えてたんだなぁって。
「……かわいそう」
《そう思うなら、この縄を解いてやればいいだろう?》
私は驚いてあからさまにビクッと肩を揺らした。
私の身体に流れてる声じゃない。
虎杖くんは、まだ寝てる。
けど虎杖くんの目の下の溝が口の形をしていた。
まさか……。
《その驚いた顔も悪くない。……小娘、名は?》
虎杖くんの顔に浮き出た口が言葉を話すように動く。
これはおそらく、両面宿儺。