第7章 両面宿儺
五条先生と観光名所を巡っていたら、いつのまにか夜になっていた。
(伏黒くん、ごめんなさい)
心の中でめちゃくちゃ謝罪した。
きっと今頃、伏黒くんは真剣に特級呪物を探してる。
そう思うと、さらに罪悪感が募った。
「うん、このずんだソフトもなかなか。今度お取り寄せしようか」
隣を歩く五条先生は微塵も反省してる様子はない。
私が半目で見上げると、五条先生はスプーンを咥えながらこちらに顔を向けた。
「あ、やっぱり皆実も食べたかった? ほら、あーん」
「結構です」
「え、口移しがいい?」
「難聴ですか?」
思わずつっこんでしまった私を五条先生はニタァと笑って見下ろした。
最悪だ。五条先生のペースに乗せられた。
「でもそんなカリカリしてる時は甘いものがいいんじゃない?」
「余計にイライラしそうなのでいりません」
「どんだけだよ。……あ、もう着くよ」
五条先生がずんだソフトの最後の一口を食べて、目の前を指さした瞬間。
ものすごい呪力の気配を感じた。
背中に、悪寒。
目の前には、杉沢第三高校。
そこには特級呪物がある。
(これが、呪物の気配……?)