第7章 両面宿儺
「おそらくまだ杉沢第三高校の中。百葉箱から出されたけど、そこまで遠くには持ち出されてないみたい」
場所が分かってるなら教えてあげればいいのに。
「教えちゃったら成長しないじゃん」
「だから考えてること当てないでくださいって」
「分かりやすすぎでしょ」
五条先生はケラケラと笑った。
「でも、さすがに物が物だからね。もし呪物を持ち出したのが一般人なら……死人が出る。それはちょっとまずいから、僕も恵と合流しようってわけ」
「じゃあそのまま直行でいいですか?」
「だめ」
「え?」
だめ? なぜ?
「皆実。僕たちが今やらなきゃいけない、今しかできないことがある」
「特級呪物探す以外ないですけど」
私の返事に対して五条先生がチッチッチッと人差し指を横に振った。めっちゃイラつくな。
「ここは仙台。皆実、来るの初めてでしょ?」
「まあ」
「初めて降り立った土地。……それなら、もちろん」
五条先生の顔がやけにキリッとした。嫌な予感。
「行くでしょ、仙台観光!」
ああ、本当に。
五条先生は五条先生だった。