第1章 プロローグ
※五条視点
「やあ、五条。……とうとう女子高生に手を出したんだね」
僕を無表情で迎え入れた硝子は、僕の腕に抱かれた制服姿の皆実を見ると笑顔で僕のことを罵った。
「へぇ、かわいい子じゃないか。かわいそうに、五条の顔に騙されたんだろうね」
「いい加減酷くない?」
硝子の診療室のベッドに皆実を横たえる。
そして、少しだけ真面目な調子で硝子に声をかけた。
「頼みがある。この子の身体、調べてくれない?」
「もしかして、高校で3級が特級になった事件の関係者?」
「その通り」
「さっさと上に報告しなくていいの?」
「アイツら、この子殺すでしょ」
「五条はこの子を殺したくない、と」
「そういうこと。だから調べて。守るなら全部知っておきたい」
淡々と、真面目な話をする僕を硝子がじっと見つめる。
「珍しく余裕がない感じだな」
聡いよね、硝子は。
余裕はないよ。だってこの子さ、
「別に。普通だよ」
死ぬ間際のアイツと、同じこと言うんだから。