第1章 プロローグ
「事件の重要参考人として、今から君を高専に連れ帰るけど。十中八九、君は『呪詛師』の容疑で死刑になる」
綺麗な碧眼の瞳に私の顔が映ってる。
大嫌いな私の顔。
こんな時にも表情を変えられない能面な顔。
「あれ、驚かない?」
「驚いてますよ、これでも。でも……ホッとしちゃう自分もいるんですよ」
本当はずーっと昔に死ぬべきだったんだ。
でも死ねなかった。
あの人がくれた命だから、大切に生きたいって、そんなことを思ってしまって。
ううん、違うね。やっぱり死ぬのは怖かったんだ。
でも結局さ。
「どんなに知らないふりをしても。仮初の青春を送ってみても。いつだって呪いに怯えて」
あの人のそば以外、どんなときも。
「この世界では、私は心の底から笑えなかったんです」
私の暢気な発言を聞いて、五条先生が瞠目した。
そりゃあこんなこと言う女子高生なんて変なんだろうけど。
本当は、もっと早く死ぬべきだった。
あの人が死んだその時に、私も死ぬべきだったんだよ。
そんなことを思っていたら、首に衝撃がきて。
意識がぷつりと途切れてしまった。