第4章 呪いの享受
背格好からして小学4年生くらい、かな。
生存者……?
「おね、ちゃ……たすけて」
暗い校舎の中。
やっと見えた少年の顔は、半分呪いに当てられてた。
顔の半分が無数のギョロ目で覆われてる。
(この子は呪霊じゃない。……呪いの影響を色濃く受けた?)
「大丈夫? 今助けるから」
身体が不自然に痛い。
ここに呪霊はいない。呪霊がいるのは上の階のはず。
引き裂かれそうなほどの痛みに堪えて、少年の身体に触れる。
《助けて、僕を助けて。なんで僕まで閉じ込められたんだ……》
流れ込んでくる呪いが身体を無数に刺す。
(この子の呪い……きっつい)
私の触れた手がこの子に住みついた呪いを全部吸っていく。
そうすると少年の半顔を覆っていたギョロ目がどんどん消えていく。
(あ……私も、ちゃんと助けてる)
嬉しくて、もう大丈夫だよって言おうとしたら。
「アイツらも、助けるの?」
少年が私のことを見てそう尋ねた。
なぜか、ゾワリと悪寒が走る。
少年の目は何も映していない。
真っ黒……。
「アイツらって……?」
「上で怪物に喰われかけてるヤツら」
瞬間、少年に触れていた私の腕が動かなくなった。