第30章 反魂人形
なんだかんだ、七海と会うのは久しぶりだ。
別に久しぶりって言っても、それで感慨深くなるとかそういうことは一切ない。
それはコイツも同じ。
「お一人でどうぞ」
僕がせっかく話題を提供してやってるのに、この返事だ。
それが七海健人っていうヤツなんだけど。
それが分かってるから、僕は勝手に話を続ける。
「はい第一問。僕の一番好きな北海道スイーツは一体どの銘菓『三方六』でしょーうか?」
「せめてクイズの意味十回調べてから出直してください」
クイズなんてだいたい適当だろ。
ったく、ほんと屁理屈が多いんだよなあ。
でもまあ……ここは優しい先輩の僕が、折れてやるしかない。
「じゃあジャガバターゲームしようぜ。ルールは簡単。よりジャガバターの好きな方が勝ち。はい僕の勝ちー僕ジャガバター日本で二番目に好きな男だから」
「誰ですか一番」
「松山千春」
「呼吸より嘘の回数の方が多いですよねアナタ」
「CO2削減になるだろ?」
「私のため息から出るCO2でチャラでしょう。何が悲しくてはるばる北海道まで来て、男二人、呪術師二人」
七海は本当にうんざりした様子で言った。
コイツのことだから、女子を呼んだところでため息の数は変わらない。
単純な話、七海は1人で北海道を満喫したかったんだろう。
そういう悲しい男なんだってことも、僕はちゃんと分かってる。
「いいじゃん、バラエティ番組っぽくて」
「どこにあるんですか、こんな辛気臭いバラエティ」
僕の言葉全部にツッコミで返すつもりなんだろうか。
そう考えたら、七海との会話も楽しめるから不思議だ。