第30章 反魂人形
飛行機で約1時間半。
私と五条先生は、札幌の地に降り立った。
五条先生に案内されるままやってきたのは、今日から2日間泊まる予定の旅館。
風情のある日本家屋の中に洋風のお洒落なインテリアが馴染んで――美しくライトアップされた薄暗いエントラスが、すでに高級感を漂わせていた。
(一泊いくらするの……ここ)
旅館の女将さんに通された部屋に入って、私は完全に言葉を失った。
修学旅行とかで、どこかに泊まりに行ったことは数回ある。
だからだいたい旅館のイメージはあるんだけど。
(……本当に2人部屋?)
テーブルとソファーが置いてあるリビングのような部屋と、寝室……どちらも30畳くらいあるんじゃないかな。
ベッドもツインだけど……たぶんこれ、どっちもダブルくらいのサイズ感……。
「うん、急いでたからわりと適当に選んだんだけど、悪くないね」
五条先生はサングラスを浮かせて、満足げに呟く。
このレベルが当然と言わんばかりに平然とした様子で、荷物を居間にあたるであろう部屋に置いた。
「何してんの、皆実」
部屋の入り口で固まってる私を、五条先生が不思議そうに見ている。
「……ここ、泊まっていいんですか? 私」
「僕一人で泊まってどうすんの。そんな虚しいことある?」
五条先生が呆れた様子で返事して、私の手を引いた。
「こっちおいで」
私の手を握って、五条先生が寝室の奥に案内する。
そこには……。