第24章 邁進
「!」
五条先生の足元に樹木が突き刺さって、その周囲に花が咲いていく。
でも私の周りにだけは、その花が咲くことはなくて。
私の周囲を避けて咲いていく花々に、五条先生と虎杖くんがほっこり頬を緩めた。
(違う、これは……呪術!)
「五条先生!」
「分かってる」
私の呼びかけに静かに答えて、五条先生は自分の頬をぴしゃんと叩く。
「げっ」
でも間に合わなかった虎杖くんは、呪術で育成された蔓に足を掴まれて吊るされた。
「先生、俺は大丈夫! ソイツ追って!」
でもその言葉と同時、茎がモンスターのような出立ちに変わって牙を剥く。
「ゴメン嘘!」
「私が行きます!」
虎杖くんを救出するべく、虎杖くんに駆け寄る。
私が通るたび、そこにある花々が枯れていく。
虎杖くんのもとに辿り着いて、虎杖くんの足を掴んでる蔓に手を伸ばす。
寸前で、五条先生が蔓の牙を『無限』で飛ばし、私の手がその蔓に触れた。
虎杖くんを吊るしてた蔓がズルリと溶けていく。
(……っ)
同時に相当量の呪力が私の身体の中に流れ込んできて。
倒れかけた私を五条先生がキャッチした。
でもその視線は、呪霊が逃げた道の向こうに投げられている。
「へぇ……このレベルの呪霊が徒党を組んでるのか。楽しくなってきたねぇ」
私のことを抱えたまま、五条先生は小さく呟いた。
「悠仁と皆実……って言うか皆にはアレに勝てる位強くなって欲しいんだよね」
「アレにかぁ!!」
アレに勝つのは、至難の技。
虎杖くんなら練習次第で可能かもしれないけど、私がアレを倒すようになるのは……一生賭けても無理な気がした。