第24章 邁進
「目標は具体的な方がいいでしょ。いやー連れてきてよかったー」
私の頭上で、五条先生は満足げに笑う。
「いや何が何だか分かんなかったんだけど」
「目標を設定したら後はひたすら駆け上がるだけ。ちょっと予定を早めて悠仁はこれから一ヶ月映画見て僕と戦ってを繰り返す」
「先生と!?」
「その後は重めの任務をいくつかこなしてもらう。基礎とその応用、しっかり身につけて、交流会でお披露目といこうか」
虎杖くんは着実に、五条先生の訓練をクリアしていく。
歴然とした差がそこにあった。
「皆実は白クマ練習、続けてね」
私のことを見下ろして、五条先生がそっけなく告げる。
言葉以上に、実践で与えられた現実が、その必要性を私に伝えてた。
悔しくて唇を噛んだ私の耳には、虎杖くんの愉快な声が聞こえてくる。
「はい、先生!」
「はい、悠仁君!」
虎杖くんの声音に合わせて、五条先生もそのノリを貫く。
「交流会って何?」
「京都にある姉妹校との呪術合戦。部活でいう交流戦みたいなもんだよ」
「え、楽しそう!」
虎杖くんの顔がパァッと明るくなる。
五条先生の知らせが、虎杖くんにまた新たなやる気を与えた。
「よっしゃぁああ! やったるぞー!」
「……皆実」
はしゃぐ虎杖くんを放って、五条先生が私の名を呼んだ。