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【呪術廻戦】無下限恋愛

第24章 邁進


 五条先生と火山頭を追って、急勾配な道なき道を降りていく。


「う、わっ!」


 何回か滑って転んで。

 その度に勢いよく滑り落ちていって。

 痛いけど、そっちの方が効率よく激坂を下れた。

 途中で湖の方から激しい音が聞こえてきた。

 おそらく五条先生たちはそこにいるのだと目星をつけて、抉れた道を進む。


 あともう少しで、開けた森に抜けられる……そう思った刹那。


(……え?)


 進もうとした足が、止まった。

 振り返った先、森の上空には何もない。


(でも、今……)


 たしかに、その気配を感じた気がした。


 気のせいなんかじゃない。

 でも、気のせいじゃなきゃおかしい。


 ほんの一瞬。

 わずかな一瞬、懐かしい気配がそこにあった気がした。


「僕を殺して、皆実を連れて行くと何かいいことがあるのかな」


 そんな私を現実に帰すように、その声が近くで聞こえてきた。

 私は歩みを早めて、そちらへ向かう。


「どちらにせよ、相手は誰だ?」


 開けた森の先には五条先生と……。


「い、虎杖くん!? なんで……」


 五条先生の家で訓練してるはずの虎杖くんがそこにいた。


「お、皆実! 説明したいけど、俺も分からん! 五条先生に連れてこられた」


 虎杖くんが元気よく答える。

 視線を変えると、五条先生の足元にさっきの火山頭の頭部だけが転がってた。


(この10分程度の間に、いったい何が……)


 目隠しを少しだけずらした五条先生と目が合う。

 けれど五条先生はすぐに私から目を逸らして、呪霊の頭をグリグリと踏み荒らした。


「早く言えよ、祓うぞ。言っても祓うけど」

「って言うか、呪いって会話できんだね。普通すぎてスルーしてたわ」


 虎杖くんが感心したように言う。

 でも私はあんまりその点驚かなくて。

 呪いの王たる宿儺が会話できる時点で、コミュニケーションがとれる呪霊がいてもおかしくはない。

 五条先生が尋問を続ける中、突然上空から樹木が降ってきた。
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