第24章 邁進
手を鳴らして、五条先生は戦闘モードに入る。
その五条先生の反応に、呪霊の方も嬉しそうな笑みを浮かべた。
《楽しくなってきた……か。危機感の欠如》
火山頭の噴火口から虫がぽんぽんっと大量に現れる。
《火礫蟲》
「危機感の欠如……ね」
虫の大群が五条先生に襲いかかるけど、すべて五条先生に届くことなく、寸前で停止する。
「これ当たるとどうなんの?」
少しの好奇心から、五条先生は虫の口針を突いた。
瞬間、ビリビリとした感覚が私の身体に流れ込んでくる。
(なに、これ……)
何らかの攻撃なのは確か。
でも私にその攻撃が届く時には、無効化されて呪力のみが吸収されていく。
(う……っ)
悪質な呪力が一気に流れ込んできて、私は地面に座り込む。
《ほう、この音を聞いても身体が爆発しないとは……貴様に術式が効かぬというのは誠らしい》
火山頭が私に再度視線を向けて笑みを浮かべる。
《しかし、吸収した呪力に体が耐えきれぬようだな》
私の苦痛を見透かして、火山頭は合図を送る。
瞬間、虫達が一斉に爆発して燃え上がった。
「音と爆発の二段構え……器用だね」
五条先生は遥か上空、爆発を避けて飛んでいる。
けれど、五条先生が飛んだのに合わせて、火山頭も五条先生のほうへ飛んでいった。
左腕に呪力の炎を携えて、五条先生の顔を殴り燃やす。
《まだまだ》
そして、さっきよりもさらに高出力の炎を五条先生にかざして、爆破した。
《……こんなものか。蓋を開けて見れば弱者による過大評価。今の人間はやはり紛い物。真実に生きておらん》
煙に包まれた先を見つめ、つまらなそうに呟く。
《万事醜悪。反吐が出る。本物の強さ、真実は死をもって広めるとしよう》
「この件、さっきやったよね」
煙の奥、うんざりしたような声をあげて、五条先生は咳き込んだ。
「学習しろよ」
《どういうことだ》