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【呪術廻戦】無下限恋愛

第24章 邁進


「えっ……ここでですか?」


 突然の命令に伊地知さんは困惑する。

 けれど五条先生からもう一度「止めて」と言われれば、その意向のままにブレーキをかけた。


「五条、先生」

「皆実はこのまま伊地知に硝子のところまで送ってもらえ」


 五条先生は私のことを見ることなく、目隠しを装着し直して車から降りていく。

 このままじゃダメなことは、バカな私にも分かることで。


「綾瀬さんっ!」

「待って……っ、五条先生!」


 私は伊地知さんの静止の声も聞かず、自分の方の扉を開けて車から降りた。


「皆実、乗れ」

「嫌です。私……違うんです」


 私が五条先生を拒んだ事実は変えられない。

 でも拒みたかったわけじゃなくて。

 どうすることもできない感情を、五条先生に伝えたいのに。

 うまく言葉が出てこない。


「……別に、皆実と一緒にいたくなくて降りたわけじゃない」


 五条先生はそう告げる。

 でもそれなら尚更、五条先生のそばにいたくて。

 根負けしたのは、五条先生のほう。


「……分かった。伊地知、先行ってて」

「えぇ!? これ何か試されてます? 本当に先に行ったら殴る的な」

「僕をなんだと思ってるの?」


 最後まで不安そうにしながら、伊地知さんは車の運転を再開した。

 黒い車が曲がり角を曲がって、消えていく。


「五条先せ――」


 先生の名前を呼ぼうとしたら、私の唇に人差し指が触れた。

 これは、『喋るな』という合図。


「さて」

(……っ!)


 瞬間、強力な呪力の気配が降ってくる。
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