第24章 邁進
「……虎杖くんの呪力と同化させたから、です」
あくまでこれは虎杖くんの呪力なんだって。
他の呪力を全部捨てて同化したから、虎杖くんの呪力が多く身体を廻ってるだけなんだって。
「宿儺の呪力じゃ、ないです」
自分に言い聞かせるように、私の声が五条先生の言葉を否定した。
五条先生から目を逸らさずに、ちゃんと答えたら、五条先生が苦しげな顔で私を見下ろした。
「そうやって、オマエは僕に嘘を増やしていくんだな」
「嘘じゃ――」
「ないって言うなら、証明しろよ」
五条先生が私の頰を押さえる。
歪んでしまった綺麗な顔が、私の唇に下りてきて。
《あの男も、オマエの呪いに当てられて……オマエを腕に抱いただけのこと》
その声が頭に響く。
「や……っ!」
気づいた時には、五条先生のキスを拒んでた。
(う、そ……)
なんで。
私、なんで五条先生のキスを……。
背けた顔を、ゆっくりと戻してみれば。
呆然と私を見下ろす、五条先生の顔が目に映った。
「……ちが、……違うんです」
唇が震えて、共に音になった声も震えた。
「五条先生、私……」
「……止めて」
私の言葉を遮って、五条先生は静かに、伊地知さんに停車の命令を下した。