第24章 邁進
「よし。……じゃ、僕は用事があるので。皆実はそれ持って僕についておいで」
五条先生はそう言って、虎杖くんの方に向き直る。
「悠仁、その調子で頑張ってね」
「こんなんで強くなれんの?」
「うわっ」
虎杖くんの顔面がボコボコに腫れていて、思わず声が出た。
どんだけ殴られたんだろう。殴られてる音はしてたけど。
「虎杖くん、大丈夫?」
その痛々しい顔が心配になって、その顔に触れようとしたら。
「そうだ」
五条先生の声が、私を止めるように響いた。
「死んでる時、宿儺と話たかい?」
その言葉がシンとした部屋の中に木霊する。
心臓が早鐘を鳴らした。
「話……」
虎杖くんは繰り返すように呟く。
「心臓を治すに当たって条件とか契約を持ちかけられなかった?」
五条先生が話しかけているのは、あくまで虎杖くん。
でもその目隠し越しに、五条先生が私を見つめてる気がした。
「あー……なんか話した気がするけど」
私は全部、知っている。
「思い出せねぇんだよな」
「……そうか」
知っていることを、知られているような。
そんな空気が怖かった。