第24章 邁進
五条先生が触れて、クマがまた綺麗な音を奏で始める。
(あ……でも虎杖くん、映画見てるんだよね。邪魔じゃないかな)
ふと、そんなことが気になって。
映画を見てる虎杖くんに視線を移す。
『赤の導線、青の導線。どっちを切ったらいい!』
結構緊迫したシーンが訪れていた。
虎杖くんはソファーに寝転んで、呪骸の頭に手を乗せてる。
いつの間にやら準備されていたコーラとスナック菓子を食べながら、真剣に映画を見てた。
(でも、呪骸がちゃんと眠ってる)
コーラをグビッと飲んで、完全に鑑賞モードに入ってる虎杖くんに感心した。
『そうよ、赤よ!! 普通赤!!』
そのシーンと同時に鳴り響く爆音。
私の感動も束の間、虎杖くんがソファーから吹っ飛んで、虎杖くんの口からコーラが噴射された。
「コーラ飲んでる時はやめろや!」
「飲むなよ。何余裕こいてんの」
暴れる呪骸の隣で、五条先生が呆れてる。
呪骸がソファーの上を飛び跳ね始めたから、五条先生が呪骸に触れた。
(……すごい)
特に意識している様子はないのに、五条先生が触れただけで呪骸は大人しく眠ってしまう。
一方、虎杖くんは五条先生が呪骸を眠らせてることには気にも留めず、気管に入ったコーラにむせていた。
「お家映画にはポテチとコーラでしょ!」
「それはそうね」
五条先生は肩を竦めて、また虎杖くんに呪骸を渡す。
その後もしばらく、私と虎杖くんは地下室でそれぞれ訓練を続けた。