第24章 邁進
「いっでぇぇえええ!!」
「その呪骸は一定の呪力を流し続けないと目を覚まして、今みたいに襲ってくるよ」
そういうのは先に言おうよって思ったけど。
言われたところで呪力を制御できなければ殴られることに変わりはない。
「さっきも言った通り、ここには色んな映画が揃ってるから。ドキドキ、ハラハラ、ワックワック、泣けて笑えて胸クソ悪くなれる。まずはその呪骸を起こさず映画1本、無傷で見通すこと」
五条先生が虎杖くんに課題を与える。
「これがどんな感情下でも一定の呪力出力を保つ訓練。多過ぎても少な過ぎても駄目だよ」
そう告げられて、虎杖くんが呪力の流れに集中する。
起きかけては眠りについて、を繰り返す呪骸に、虎杖くんがビクついた。
「今は悠仁でも出せる程度の微量な呪力に設定してあるけど、徐々に大きな出力を要求してくるから、常に気を抜かない様にね」
「抜きたくても抜けねーよ、これじゃ」
冷や汗をかきながら、虎杖くんは呪力を調整する。
でもそんな虎杖くんのことなど気にせず、五条先生はマイペースに映画選びを始めた。
「何から観る? これなんてオススメだよ。ヒロインがむかつくんだけど、最後派手に死ぬの」
「すんげぇネタバレ。最初はアクショ、ン゛」
虎杖くんが話に夢中になった瞬間、呪骸が容赦なく虎杖くんの顔面を殴った。
「もーーーーー! も゛ぉーーーーー!」
「はい、イライラしても呪力は一定」
苛立ちで呪骸を床に投げつけた虎杖くんに、五条先生が冷静にアドバイスした。
虎杖くんのリクエストに沿って、五条先生がアクション映画をセットする。虎杖くんは呪骸に意識を向けながらソファーに座って、映画鑑賞を開始した。