第24章 邁進
「大丈夫?」
「いや俺もサンダーとかファイヤーとかパワーボムとかできると思ってたから」
「パワーボムはできるでしょ」
完全に自信喪失してしまっている虎杖くんを見て、五条先生は笑ってる。
でもこの笑顔は……。
(……何かあるな)
企むような笑顔。
(虎杖くん、実は術式使えるんじゃないかな)
宿儺と魂を繋いでるわけだし……呪力も宿儺の呪力を介してる。
虎杖くんが気づいてないだけで、もしかしたら宿儺の術式を使えるんじゃないかなって。
そんなことを考えてたら、五条先生が虎杖くんを励まし始めた。
「できないことはガン無視してこ! 君の長所を更に伸ばす。悠仁の体術に呪力を上乗せするんだ。下手な呪術よりもこういう基礎でゴリ押しされた方が僕は怖いよ」
その鼓舞に虎杖くんがピクッと反応する。
「さっきも言ったけど、肉弾戦の才能はピカイチだからね」
五条先生が虎杖くんを上手に褒めて、虎杖くんの目がガッと開いた。
「でもでも! それなら俺もうできるぜ!」
「起きろよ」
寝転んだまま、顔だけ浮かせて、虎杖くんは得意げに告げる。
「あの時なんとなくコツは掴んだ」
たぶん虎杖くんの言う『あの時』は、特級呪霊に最後殴りかかった時のことだと思う。呪霊に受け止められてしまったけど、あの時虎杖くんの拳はたしかに呪いが篭もってた。
「じゃあやってごらん。ココ打ち込んで。どうせできないから」
「ケガしても知んないよ?」
「いいから、はよはよ」
五条先生の言葉通りに、虎杖くんは五条先生の手のひらに拳を打ち込む。けれど、その拳は五条先生の無限に簡単に受け止められた。
「篭もってなかったね、呪力」
「なんで!?」
「呪力の源は負の感情。君の言う『あの時』は怒りや恐怖に満ち溢れていたんだろう」
五条先生がそう教えてあげると、虎杖くんは「あ!」とまた何かに思い至ったみたいで、頭の豆電球を照らした。
「呪力を使う時は常にブチ切れてなきゃいけねーのか! 確かに伏黒もいつもキレ気味だったかも!」
「違ウヨ」
五条先生が冷静に否定する。