第24章 邁進
「うわっ、テレビもソファーもある!」
地下に降り立つと、その中の様子を見て虎杖くんがはしゃいだ。
虎杖くんの言う通り、ソファーもテレビも机もある。
簡素な造りに見えるのに、頑丈そうな石壁。
天井にはいくつも豆電球が吊るされていて。
(普通にここに住めそう)
私がそんなことを思うのと同時、五条先生が虎杖くんに告げた。
「今日からしばらくココが悠仁の部屋ね。必要なものはほとんど揃ってるから、基本的にはココから出ないように」
「え? まあ、全然いいけど。……でもここじゃ戦闘訓練とかできなくね?」
「うん、でも今は戦闘訓練しないから。必要になってきたら、道場で稽古つけてあげる。悠仁に今必要なのは戦闘訓練じゃない。近接戦闘に関しては悠仁は頭一つ抜けてると思うよ」
虎杖くんのことを考えて、五条先生は虎杖くんを強くする方法を考える。
久々に『先生らしい』五条先生を見た気がした。
「今覚えるべきは呪力の制御。そして呪術に関する最低限の知識。これは皆実も同じね」
五条先生が諭すように告げてくる。
呪力の制御に関しては、虎杖くん以上に私の方が重要課題。
真剣に頷く私の隣で、虎杖くんはうんうんとにこやかに笑ってる。
不自然なくらいに嬉しそうな顔をしてる虎杖くんに、五条先生が首を傾げた。
「どうしたの?」
「いや、やっぱ修行つけてもらうなら五条先生がいいと思ってたから、嬉しくて」
そう告げて、虎杖くんは目を閉じる。
その顔は笑顔の中に少しの悲しみを抱えてた。
「俺は弱くて誰も助けらんなかった。それどころか伏黒を殺しかけた。今のままじゃアイツらに顔向けできねぇよ」
虎杖くんは笑顔を隠す。
そして、真剣な顔で五条先生に向き直った。
「強くなりたい。『最強』を教えてくれ」
虎杖くんの、心からのお願いを聞いて、五条先生は満足げに笑った。
「フッフッ、お目が高い」
「先生自分で最強って言ってたけどね」
けれどその言葉通りに五条先生は最強だから。
この人に教わればきっと、虎杖くんは格段に強くなる。
そう、私は確信してた。