• テキストサイズ

【呪術廻戦】無下限恋愛

第24章 邁進


※伏黒視点


 考えないようにしようとすればするほど、溢れ出す感情に心が負けていく。


 目を閉じれば、綾瀬が胸に小刀を突き刺す瞬間と、虎杖が俺の目の前で倒れる瞬間が頭に浮かんだ。


「長生きしろよって……自分が死んでりゃ世話ないわよ」


 俺の隣、仏閣のような造りの校舎の前の階段に座って、釘崎が呟いた。

 病院で治療を受けて帰ってきた釘崎が、最初に受けた報告が綾瀬と虎杖の悲報だった。

 釘崎のことだから「アンタがついててなんで」とかなんとか、キレてくるんじゃねぇかなって、そんなことを冷静に予想していたのに。


 虎杖の最後の言葉を伝えた俺に、釘崎は呟くように言葉を漏らした。

 釘崎と意見が合うことなんて一生ないと思っていたけれど、その呟きだけは同感だった。


「……皆実は、最後になんか言ってた?」


 虎杖の言葉を伝えたたからか、釘崎が綾瀬の言葉を気にした。


 正直、俺はアイツが口にした、本当の最後の言葉を知らない。

 俺が知るアイツの最後の言葉は、虎杖の伝言だったから。
 でも。

 綾瀬が虎杖経由で告げた最後の言葉は、俺の心をいまだに苦しめてる。


「『強くなってね』……だとよ」


 答える声が、喉に詰まった。
/ 612ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp