第3章 はじめての平穏
「まあいいや。それより、早く着替えないと遅刻するよ。僕シャワー浴びてくるから、その間に準備して」
「……はい」
五条先生はバスルームに消えていく。
私はその背中を見送って、制服を放置してる寝室へ向かおうとしたのだけど。
「皆実」
名前を呼ばれて振り返った。
サングラスを外した、上半身裸の五条先生が扉から顔を出す。
だから、そういうのやめてくれって……。
「僕の監視下で、自分を傷つけるのはやめろ」
少しだけ強い口調。
空気が怖くて、私は口をキュッと結んだ。
怒ってた理由は……そっちか。
「じゃ、支度済ませておいてね」
でも次の瞬間には、いつもの五条先生に戻ってて。
笑顔で扉の向こうに消えていった。
「本当、なんですぐに気づいちゃうんだろ」
少し疼いた、自分の左腕をさすった。