第20章 呪胎戴天
「……俺は」
ああ、やっぱり……俺は。
「オマエを助けた理由に論理的な思考を持ち合わせていない」
あのときの俺を何度想像しても、俺はきっと同じ答えを導くだろう。
「危険だとしてもオマエの様な善人が死ぬのを見たくなかった。それなりに迷いはしたが、結局は我儘な感情論」
そう、全部我儘だったんだ。
でも……。
「でもそれでいいんだ。俺はヒーローじゃない。呪術師なんだ」
俺が助けたいと思った人を助けたかった。
たった、それだけ。
「だからオマエを助けたことを一度だって後悔したことはない」
真っ直ぐに視線を向けた先。
そこに立っている肉体は同じ。
でも、その肉体の主導権を握っているのは……もう宿儺ではない。