第20章 呪胎戴天
「このままじゃ、虎杖くんが伏黒くんを殺しちゃうよ」
嫌な言い方して、ごめんね。
実際に殺したのが宿儺だとしても。
きっと虎杖くんは、宿儺のせいにしないでしょ。
「皆実」
虎杖くんが私の瞳を真っ直ぐ見てる。
その瞳はやっぱり不安げで。
役立たずの私が、少しでも虎杖くんの力になれるなら、なんだってしたいと思うの。
「大丈夫だよ、虎杖くん」
虎杖くんの身体を抱きしめた。
少しでも、その負の感情が私に流れて消えてくれればいいと、そう願って。
「ずっと、私がそばにいる」
私がそう告げたら、虎杖くんの体が震えた。
「皆実……オマエ、まさか」
たぶん、虎杖くんは私がココにいる理由を悟った。
きっと今まで、虎杖くんが創り出した想像の私だと思ってたんだろうね。
でも、もう……そんなの関係ないよね。
「私はココで待ってるから」
私に引き返す場所はもうない。
肉体を離れ、呪力を媒介にして虎杖くんの魂と導線を結んだ私の魂は、もうココから逃げることはできない。
「だから、安心してよ」
嘘じゃない真実を、虎杖くんに告げる。
「私は虎杖くんを、1人にしないから」
だから、お願い。
「伏黒くんを……みんなを、助けて」