第20章 呪胎戴天
※皆実視点
「虎杖は戻ってくる」
伏黒くんの、声がする。
身体を動かそうとしたら、ビリビリと身体中に電気が走った。
私の中を、宿儺の呪力が巡ってる。
ただ触れられただけ。
でも触れられた箇所から、ものすごい量の呪いが流れてきて。
全部、壊れていった。
呪いの攻撃は効かないって。
油断してた。
そう、私は弱いんだよ。
戦えないくせに、理性も保てないの。
《折角外に出たんだ、広く使おう》
楽しそうな、宿儺の声。
ああ……伏黒くんも、宿儺にとっては玩具なんだ。
この世のすべてが、最悪な呪いの玩具。
(また……みんな、死んじゃう)
伏黒くんを信じてないわけじゃない。
でも信用の先に、その邪悪な呪いがいるの。
動かなくなった身体が教えてくれる。
この呪いは普通じゃない。
この呪いをもし祓うことができるとしたら、それはきっと五条先生だけ。
(いつもみたいに、ヘラヘラ笑って出てきてよ)
宿儺のこの余裕の笑顔を打ちのめしちゃうくらいの、余裕な笑顔を見せてほしかった。
でも、五条先生はここにいない。
来ることも、できない。
(最初から、仕組まれてたんだ)
こうなることも含めて全部、上層部の企み。
おそらく、五条先生はこの現状をまだ知らない。
五条先生を、私たちから完全に遠ざけてる。
だから……この状況で、宿儺を止めることができるのは……たった1人なの。