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【呪術廻戦】無下限恋愛

第20章 呪胎戴天


《俺の領域に入ったにも関わらず、やはりオマエは無傷か》


 宿儺が私の身体に触れようとしたから。

 私は身構えた。

 もう、呪霊は祓った。

 宿儺を顕現させておく理由はない。


「虎杖くんと、変わって……ください」

《それもまた願いか?》


 願いと答えれば、また対価を求められる。

 だから私がこの状況で頼るのは……。


「虎杖くん! 戻ってきて!」


 宿儺の中にいる虎杖くんに声をかける。

 傷つけられた両手は宿儺が治してくれてる。

 だから、もう戻ってきて。


《俺より小僧がいいと申すか? まったく趣味が悪いな、皆実》

「やめ、て!」


 また宿儺が私の肩に触れる。

 ジクジクと、身体が焼けるように痛くなる。


《小僧に代わる前くらい……俺を受け入れろ》


 そうしてまた、宿儺の唇が私の唇に触れたから。

 乾いた音を、宿儺の頰で鳴らした。


《……クックッ、……気の強い女は、嫌いではない》


 腕の感覚をまた奪われてしまう前に、宿儺の頰を引っ叩いた。

 最悪の呪いの肌を傷つけて。

 殺されてもおかしくない状況。


「虎杖くんに、身体を返してください」


 それでも強気に言葉を告げたら、宿儺がため息をつくように笑った。


《……途中で邪魔をされても、不愉快だからな》


 そう呟いて、スッとその笑顔を消す。そして……。


《終わったぞ!! 不愉快だ!! 代わるのならさっさと代われ!》


 体内の虎杖くんに、宿儺が声をかけた。

 前のときと同じなら、すぐに虎杖くんが戻ってくるはず。

 でも、数秒待っても、顔の模様が消えない。


《小僧?》


 宿儺も不思議そうに、体内の虎杖くんに呼びかける。

 でもその思案顔は、すぐに企みを含んだ笑みに変わった。


《ケヒッケヒッケヒッ》


 独特な笑い声。

 同時に頭の中に鳴り響いた、アラート。


「虎杖、くん」

《小僧は戻らん》


 宿儺の笑みが止まらない。


《さて……皆実》


 私の腕を掴んだ宿儺は、これ以上ないほど憎らしい笑顔を私に向けている。


《俺の頰を叩いたこの腕は……その対価を受けるべきだろう?》

「や、め……っ!」


 瞬間、私の身体の神経すべてが、宿儺の呪力に侵された。
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