第20章 呪胎戴天
私が立ち塞がったままでいると、宿儺が私の左腕を容赦なく鷲掴んだ。
その腕がビリビリと、電気が走ったみたいに感覚を失くす。
《本当に、呪力を吸収するのだな》
強大な呪力が左腕から全身に流れてくる。
私の身体を一気に呪力が駆け巡って、全身が悲鳴をあげる。
悲痛に歪む私の顔を見て、宿儺がまたケヒッと笑い声を上げた。
《皆実……俺に言うことを聞いてほしいか?》
私の左腕を離して、宿儺の手がまた、私の顎にかかる。
《この呪霊を俺に祓え、と》
触れられた場所に針が刺さって肉ごと抉られるような……そんな感覚に、私の顔が歪む。
《しかしそれは虫がいい話と思わぬか? 力を完全に取り戻したわけではない俺に、オマエたちが手も足も出ないこの呪いを祓えなど、分不相応な願いだろう?》
たしかにそう。
でも、それしか方法がない。
恐怖に怯えた私の顔を、宿儺が恍惚の笑みで見つめてる。
《だが、俺もオマエの願いであれば……それを叶えてやらなくもない》
宿儺の指が、私の顎を持ち上げた。
抵抗できないまま、私は顔をあげる。
その瞳には、呪いにまみれた私が映ってる。
《オマエの全部を喰う前に……少し味見させろ。それで等価だ》
そう告げて、宿儺の唇が私の唇に触れた。