第20章 呪胎戴天
身体が震えるのは、恐怖じゃなくて、痛みのせい。
そう、自分に言い聞かせて。
《皆実、そこを退け。オマエを喰うのはヤツらを殺してからだ》
宿儺は静かに言って、一歩ずつ私に歩み寄ってくる。
《呪いに身体を蝕まれ、憎悪と悲痛に濡れたオマエの感情ごと全部、オマエの身体を喰う》
私の目の前で、立ち止まった。
《甘い果実は……熟した時に喰らうに限る》
耳元でそう囁かれて。
私が唾を飲んだ音が、大きくその場に木霊した。
《そう震えるな。優しく喰らってやる》
その笑い声すら怖くて。
震えが止まらない。
でも、ここを退くわけにもいかない。
「……その呪霊を、祓って、ください」
なんとか振り絞った声は、やっぱり震えてた。
伏黒くんと野薔薇ちゃんのところに、宿儺を向かわせるわけにはいかない。
この呪霊を祓って、虎杖くんを呼び戻す。
それができるのは、今この場において私だけだから。
私は絶対、ココを譲るわけにはいかない。