第20章 呪胎戴天
私の言葉を聞いて、虎杖くんの纏う空気が変わる。
「皆実……」
名前を呼ばれて、私が笑いかけたら、虎杖くんも困り顔で笑った。
「オマエのほうこそ、強すぎだよ」
虎杖くんが涙を拭いて、また構えた。
「そばにいてくれてありがとな。それと……ごめん。……あとは、頼んだ」
そう告げて、虎杖くんが呪霊に向かって走っていく。
私が呪力を手放したから、呪霊がもう身体を動かせるようになっていて。
「クソッ!!」
殴りかかった虎杖くんの拳が呪霊の掌に収まった。
でも……。
(……っ、伏黒くんたちの呪力が領域を抜けた!)
私の中を流れる2人の呪力の気配が、この領域から遠のいた。
同時に、聞こえてきた玉犬の声。
(よし……これで……っ)
安心も束の間。
ゾクリとおぞましい気配が漂った。
(……この、空気)
気配の元を辿った先には……虎杖くん。
いや……違う。
《つくづく、忌々しい小僧だ》
顔に模様を刻んだ、両面宿儺がそこにいた。