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【呪術廻戦】無下限恋愛

第20章 呪胎戴天


「皆実……オマエも動けるようになったら逃げろ」


 残った虎杖くんが、私を心配してる。

 呪霊の攻撃が効かない私を、まだ心配してくれてる。


「虎杖くん……違う、よ」


 痛いのは我慢して、ゆっくりと立ち上がる。

 身体が軋んで重い。


「私は……虎杖くんと一緒にコイツを、食い止める」

「何言って……」

「私が、コイツの呪力を、受けるから」


 私は特級の呪力を浴びても吸収して無効化するから、絶対に身体を失うことはない。

 でも私にはコイツを祓うことができないから。


「虎杖くんがコイツぶっ飛ばして。宿儺を呼んでも、いいから」

「でも、コイツ……皆実のこと喰うって」

「宿儺も呪いだよ。……私は殺せない」


 さすがに私のこの発言には宿儺が反応するかなって身構えたけど、虎杖くんの顔に口は現れない。


 そして私たちが結論を見つけ出せないまま、呪霊が腰に巻いていた褌のような布を破り払った。


「動きやすくなりましたってか」


 身体を制限していたものをすべて取り払って、呪霊の纏う空気が一段と濃くなった。

 虎杖くんは真剣な顔で呪霊を見つめてる。

 おそらく策を頭の中で練っているんだと思う。

 でも呪霊はそんな悠長な時間など残してくれないから。

 呪力を私と虎杖くんの両方に向かって放した。


(……っ! いた、い)


 とてつもなく邪悪な呪力に身体が刺される。

 泣き出したくなるくらいに痛いけど、私の身体のどこにも傷はできていない。


(だから、倒れるな……私!)


 呪力を吸収して私が無傷でいる一方で、虎杖くんは呪力を直に浴びて、そのまま空中へ吹っ飛ばされていた。


(虎杖くん……っ!)


 目にも止まらぬ速さで呪霊が虎杖くんを追い、殴り飛ばす。


(これじゃ、虎杖くんを守れない)


 偉そうに一緒に食い止めるとか言っておいて、虎杖くんのことを全然守れない。

 呪霊は私に攻撃が効かないと理解してるのか、攻撃を虎杖くんに集中させている。


(くっ……そ!)


 呪霊が虎杖くんに向かって高出力の呪力を爆散する。


「あ゛ぁぁあ゛ぁぁあ!!」


 虎杖くんがそれを真っ向から受けて、その指がボロボロに崩壊していく。


(だ、め……っ!)

「皆実……っ! や、めろ……っ!」
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