第20章 呪胎戴天
そんな私を庇うように、虎杖くんが宿儺に反論する。
「んなこと俺がさせねぇよ」
《だろうな。だが俺にばかり構っていると、それこそ仲間が死ぬぞ》
声に愉快な色を取り戻して、宿儺が忠告する。
それと同時、呪霊が頰をふくらませて虎杖くんと伏黒くんに向かって呪力をとばしてきた。
呪力をとばしただけなのに、床が抉れている。
(術式なしで……この威力)
呪霊はケタケタと笑ってる。
あくまでこれは遊びなんだと、そう言いたげに。
ふざけた態度で私たちを見下ろしている。
完全に負けが確定している状況下で、それでも虎杖くんは、いつも通りに声を上げた。
「伏黒! 皆実と釘崎連れてココから逃げろ!」
自分を犠牲にする選択肢を、虎杖くんは真っ先に考えて選択した。
「3人がココを出るまで俺がコイツを食い止める。出たらなんでもいいから合図してくれ。そしたら俺は宿儺に代わる」
「できるわけねぇだろ!!特級相手に片腕で!!」
伏黒くんが虎杖くんを止める。
伏黒くんの言う通り。
宿儺と変わる前に虎杖くんの身体が壊れちゃう。
「よく見ろって。楽しんでる。完全にナメてんだよ、俺たちのこと。時間稼ぎくらいなんとかなる」
「だめだ……!!」
こんなの絶対得策じゃないのに。
「伏黒!! ……頼む」
自分が死んじゃうかもしれない状況なのに。
どうして、虎杖くんはそんなに穏やかな顔をしていられるの。