第2章 流呪操術
※皆実視点
五条先生と出会ってから何度目の気絶だろう。
目が覚めたら、見たことのある天井。
「あ、起きた? おはよう、って時間でもないけど」
声の方を向いたらベッドの縁に五条先生が腰掛けてた。
右脚を折りたたんで肘掛け代わりにしてる。
左脚はだらーんと投げ出されて。
このベッドって結構高さがあるはずなのに、なんでそんなに脚が余るんだろう。
私、座ったら脚が浮きそうなんですけど。
「……おはようございます。……あの、入学試験は?」
「倒れたから不合格」
「え」
私なりに頑張った結果なのに!
え、嘘。制服もあるのに? やばい、本当にただのコスプレじゃん!
「アハハッ、百面相してる」
「だって……」
「嘘だよ、ちゃんと合格。……そんなに睨むなよ。皆実だって約束破ったんだからお互い様でしょ。術式禁止って言ったのに」
「だって……学長さん納得させなきゃ入学できないし」
「あ、なんだかんだ入学したかったんだ?」
私が黙ると五条先生はまた腹を抱えて笑った。
ここまで人の感情を逆撫でできるってすごい。
煽られジェットコースターって感じ。
「もう、使わないでね」
「役に立たないからですか?」
「うん、まあ。そんなところ」
五条先生の歯切れが悪い返事は珍しい。
何か別の理由があるのかもしれないけど、なんとなく聞くのはやめた。